すべては私の祖父母の代から始まりました。彼らは共に葡萄栽培農家からヴィニュロンとして新たな挑戦を目指していたのです。ヴァレ・ド・ラ・マルヌで自社ワインを造るため、右岸のFleury-la-Rivière(フルーリー=ラ=リヴィエール)ではピノ・ムニエ用に、左岸のMardeuil(マルダイユ)ではピノ・ノワール用に最初の圧搾機を購入しました。
祖父母のシャンパーニュは少しずつ拡大していきました。古い写真に二人の初めてのスペイン旅行が記録されています。バカンスの間、二人はバルセロナ北東にある海岸リゾート地、コスタ・ブラヴァに航海に出かけました。
私たちのカーヴは始新世の砂と石灰岩から成る地層、フルーリー=ラ=リヴィエールとマルダイユに位置しています。19世紀に掘削された石灰岩の地下カーヴは第一次世界大戦の際には病院としても使用されていました。現在ではシャンパーニュの醸造と熟成、貯蔵に利用されています。
1960年代、それは喜びと解放の時代です。ビッグサイズの眼鏡、トラペーズドレス、サファリジャケットを私たちにもたらしてくれた時代、芸術家たちが創造性とインスピレーションの海に浸かっていた時代です。
秘密のリキュール 現在、多くのシャンパーニュに用いられるドサージュのためのリキュールは時に黒色を帯びていたり透明だったりします。これは数世紀に渡るシャンパーニュの歴史とワイン造りにおける大事な要素です。
私は祖父母の最初のヴィンテージとなる希少なシャンパーニュを用いて糖度の低い門出のリキュールを造りました。時間軸の異なる香りの流れをワインに与えたいのです。
インスピレーション それはすなわち想像力と新しい味わいの発見です。
私は祖父母から受け継いだシンプルなワイン造りを実践しています。それは決して最新の設備や容器を使うような贅沢なワイン造りではありませんが、大きな意味を持っています。
空調を必要としない涼しい地下カーヴでヴィンテージによって酸化防止剤の使用有無も変えることが出来ます。
私は誰も排除しないワイン造りに胸を張っていたいのです。
私のワイン造りの旅、冒険への情熱はイタリアのトスカーナ州シエナの大きなヒノキの樹の下から始まりました。
オレゴンの森を流れる川を散歩して、オーストラリアの海岸線をアデレードからケアンズまで旅しました。
日本では複雑で香味の高い味覚を理解する決定的な分岐点となりました。2年間、文化、言語、ガストロノミーを学びました。
家族、そしてシャンパーニュの地から離れた私の旅は様々な価値観のバランス、感覚の探求でした。
私がリリースする初めてのシャンパーニュは私の旅の記憶と物語、そして私があなたに送るワインのプロフィールに基づいて描かれています。
ワインを通じてお会いしましょう。

NV(2022)Extra Brut Premier Cru Les souvenirs
エクストラ・ブリュット プルミエ・クリュ レ・スーヴニール
ブドウ品種:ピノ・ノワール1/3、シャルドネ1/3、ピノ・ムニエ1/3
畑・土壌:Vrigny村 石灰岩基盤岩の土壌
醸造・熟成:海外での経験、インスピレーションを反映させ、何者でもない独立した存在のシャンパーニュを目指します。
天然酵母、3品種の混醸造、MLFさせます。二次発酵前のヴァン・クレールは主にタランソー産の古樽と60Lのガラス瓶ダム・ジャンヌで熟成。清澄せず。ドサージュ4g/L
2022年、予想していた通りですが例年より少し早い収穫となり成功を収めました。完熟しており果実味が豊かに感じられる素晴らしいヴィンテージです。最大の課題は、果実が十分な酸味とフレッシュさ、とりわけ私が求めるわずかな苦みを維持できるかどうかがポイントです。
ドサージュ このワインのためにドゴルジュマンの数日前に調合した特別なリキュールです。60年代のピノ・ノワール シャンパーニュをSur pointeで熟成させたもの、そして特別なシャルドネをブレンドしたものとなります。
ラベル 4000万年前、始新世の時代、シャンパーニュに存在した熱帯の海の起伏と反射を表現しています。