17世紀からアルザス地方コルマール市近郊Katzenthal(カッツェンタール)村でワイン造りの歴史を持つクリュール家。 1999年、ビオロジックとビオディナミを基軸としたVignoble Klur(ヴィニョーブル・クリュール)を継承しました。 彼らは当主の名前による「Clement Klur(クレマン・クリュール)」で名を馳せました。 2017年、クリュール家は家族の喜びを目的として「反成長」を選択します。それは管理するブドウ畑を小さくし、自分たちが造るワインの生産量も減らすという決断でした。 
Clement Klurというブランドと2014年から2016年のワインのほとんどをDomaine Leon Heitzmann(レオン・ハイツマン)に売却。ブドウ畑の大部分も、同じくハイツマンに貸し出されました。 Clement氏は40年間のワイン造りを引退し、娘のElisa(エリザ)と共に少量の自然なワインを造る道を選んだのです。 クリュール家は、特級畑となる花崗岩のWineck Schlossberg(ヴィネック・シュロスベルグ)と粘土石灰質のHinterburg(ヒンテルブルグ)の二つの区画、わずか1.7ヘクタールの畑から新しいワイン造りをスタートさせました。どちらも1999年以来オーガニック及びビオディナミの認定を受ける畑です。
2017年は5種類のワインを合計約6000本のみ生産されました。

2018年、アートとジュエリーを学んでいた娘のエリザ・クリュールは、ワイン造りへの興味も強くなりました。そして、2019年からドメーヌに参画したのです。エリザは自身のブランド 「Tack&Glou」 を設立して、アート、ジュエリー、そしてワインを生産しています。

私たちの哲学とワイン造り
私たちのブドウ畑はすべて斜面にあります。私たちはそのブドウ畑を優しく管理しています。耕作には馬と小さなトラクター(Niko)を使います。20年間のビオディナミ農法により生きた土壌がもたらされます。
ブドウの収穫・選定には特別な注意を払います。そして最小限の介入で醸造を行います。40年以上にわたるワイン造りの経験が私たちを助けてくれます。
ほとんどのワインは、全房を使って長い時間をかけてプレスします。ゆっくりプレスする事で良質な果汁を獲得できます。
そして果汁はできる限り重力を利用して移動させます。ポンプの使用は最小限。発酵は土着酵母を利用します。
白ワインはステンレスタンクでの長時間発酵と熟成。赤ワインとオレンジワインは古樽での熟成です。

 

 

Pet En L’Air Vin de France
ペット・アン・レール

ヴィンテージ【(2020)】

ブドウ品種:リースリング、ピノ・ノワール、ミュスカ 平均樹齢:45年 畑・土壌:花崗岩 栽培:ビオロジック、ビオディナミ植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを4時間かけて空気で圧搾。24時間デブルバージュしたあと天然酵母で自発的発酵。収穫後、約3週間で瓶詰め。残糖がアルコールと炭酸ガスへと変わるペティヤン・ナチュレル。2022年3月にデゴルジュマンして王冠。
アルコール度数:12.71%  残糖:0.65g/L 総酸度:4.12g/L

PETはペティヤンの略ではありますが、PET EN L’AIR という名前は18世紀のL’Art de Péter という高名な学術書に収録されている物語にインスピレーションを受けました。アマゾンの王子と女王にまつわるその物語は厳格な人々に向けて書かれましたが…このワインは陽気で軽やかな気持ちをお届けします!

ワインの生まれ:小さな区画からのミュスカとヴィネック・シュロスベルグの頂点のリースリングを組み合わせることで、クリスピーでフレッシュな味わいになりました。11月の発酵中に手作業で瓶詰めを行い、冬の間冷たいセラーに保管しました。花崗岩の土壌がミュスカの美しいアロマとリースリングの溌溂さを育みました。

楽しみ方:朝食から就寝前まで、昼下がりのプールで。

Appel D'R Riesling
アペル・デール リースリング

ヴィンテージ【2022】
ブドウ品種:リースリング 平均樹齢:50年 
畑・土壌:花崗岩、南向き急斜面、標高420mの特級畑ヴィネック・シュロスベルグ上部に位置する畑。
栽培:2002年からビオディナミ  植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを6時間かけて空気で圧搾。24時間静置したあと天然酵母で自発的発酵。シュール・リーで熟成。2020年9月に瓶詰め。
アルコール度数:13.23%  残糖:1.8g/L 総酸度:5.1g/L

この区画は特級畑ヴィネック・シュロスベルグの花崗岩土壌より高い場所にあります。特級畑の上部に面して、よく開けており、村やアルザス平野が見渡せます。日によってはアルプス山脈の頂も見えます。ここで作業を行うといつも空気がフレッシュで心地よいです。生垣やアカシア、栗の木で仕切られた区画は小鳥たちも少しだけ仲間になってくれます。

ストーリー:隣接するヴィネック・シュロスベルグの両雲母花崗岩の土地同様に、険しく過酷な区画です。ワインは長時間発酵を行いドライに仕上がりました。まっすぐでクリーンなドライリースリングです!

楽しみ方:海由来のものはなんでも合わせられます。貝類でも海藻でも魚でも。

Grand R Riesling Grand Cru Wineck Schlossberg
オ・グラン・デール・リースリング グラン・クリュ ヴィネック シュロスベルグ

ヴィンテージ【2017】【2020】
ブドウ品種:リースリング 平均樹齢:65年 
畑・土壌:花崗岩、南向き急斜面、特級畑ヴィネック・シュロスベルグ。
栽培:ビオディナミ 植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを6時間かけて空気で圧搾。24時間静置したあと天然酵母で自発的発酵。シュール・リーで18か月の熟成。2020年9月に瓶詰め 
アルコール度数:13.78% 残糖度:2.3g/L 総酸度:4.87g/L

ワイン名の由来:「グラン」というのはそのテロワールに因みます。特級畑ヴィネック・シュロスベルグ。

歴史:カッツェンタールのグラン・クリュエリアにみられる両雲母花崗岩がこの土地で育まれるワインをエレガントで繊細なものにします。葡萄樹は樹齢40年以上でそのワインは上質の澱とともに寝かされました。

おすすめの楽しみ方:アペリティフで始めて、メインディッシュ、デザートまで保たせられます。

Tête En L’Air Vin de France
テット・アン・レール ヴァン・ド・フランス

ヴィンテージ【2022】
ブドウ品種:ゲヴュルツトラミネール、ミュスカ、リースリング、ピノ・ノワール 平均樹齢:40年
畑・土壌:ヴィネック・シュロスベルグ丘陵の花崗岩、ヒンテルブルグの石灰粘土。 
栽培:ビオロジック、ビオディナミ
植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを4時間かけて空気で圧搾。天然酵母。5日間果皮浸漬。樽熟成。2021年8月瓶詰め。アルコール度数:13.3%  残糖:1.6g/L 総酸度:4.37g/L

私たちはリースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネールすべての葡萄をフードル(大樽)に入れて果皮浸漬しました。

味わい:オレンジがかった色調。果皮浸漬に由来する美しい収れんを伴う繊細な香り。食前から食中酒まで楽しめます。

Il y a de l’Or… Dans L’Air Vin de France
イリ・ヤ・ド・ロール… ドン・レール

ヴィンテージ【2021】【2022】
ブドウ品種:ゲヴェルツトラミネール、ミュスカ 平均樹齢:60年 畑・土壌:ヴィネック・シュロスベルグの丘、花崗岩
栽培:ビオディナミ 植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを4時間かけて空気で圧搾。50%全房、天然酵母。10日間のマセラシオン。サンスフル。樽熟成。2022年5月に瓶詰め 
アルコール度数:12.98% 残糖 :0.2g/L 総酸度 :3.19g/L

金(Or)か、オレンジ(Orange)ワインか、はたまた2人の間を吹き荒れる論争の嵐(Orage)か。クリュール家でもしばしば…というのはジョークです!

味わい:フルボディで花やライチの複雑なアロマ、研磨されたようなタンニン。長い余韻。

Air de Famille Pinot Noir
エール・ド・ファミーユ・ピノ・ノワール

ヴィンテージ【2019】【2020】
ブドウ品種:ピノ・ノワール 平均樹齢:45年
畑・土壌:ヒンテルブルグ、粘土石灰質 栽培:ビオディナミ
植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み

(2019年)醸造:熟成:全房30%、15日間のマセラシオン。1時間半かけて空圧式プレス。天然酵母で自発的発酵。3年以上の古樽で9か月の熟成。2020年8月に瓶詰め アルコール度数:13.85% 

このワインは私たちのピノ・ノワールワインのここ10年の鉄則である無濾過、SO2無添加に則っています。そして全房のまま発酵させ、あまり長い発酵期間にせず、小さな木製の圧搾機を使い手動でプレスしました。さらに庭の縁で育った樹の葡萄を加えました…収穫は梯子を使って!

ストーリー:ヒンテルブルクの石灰質粘土土壌からできるワインです。ヴォージュ山脈の麓にあたるエリアです。バリック(2、3年もの)で熟成。

おすすめの楽しみ方:心温まるようなワインです。いつでも開けられます。

Langue O Chat
ラング・オー・シャ

ヴィンテージ【2015】
ブドウ品種:非公開  平均樹齢:50年
畑・土壌:ヴィネック・シュロスベルグ。花崗岩
栽培:ビオディナミ 植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを4時間かけて空気で圧搾。 24時間静置したあと天然酵母で自発的発酵。 9月までシュール・リーで熟成 2016年9月に瓶詰め
アルコール度数:13.50%

  ここでクエスチョン。この白ワインは複数品種でできています。味わって、考えてみて、それらが何であるか教えてください。
溌溂として緊張感がありながら、ボディと長い余韻もあります。花崗岩により複雑性と優美さがもたらされています。
カッツェンタールは「猫の谷間」という意味になります。わたしたちはなぞなぞが好きです。フランス語のことわざで、なぞなぞの答えが出せなくてヒントがほしいとき「ねこに舌を与える(直訳)」と言います。というわけでこのワインに使われている葡萄を当てていただきましょう。
このワインの生まれ:すべての葡萄が特級畑ヴィネック・シュロスベルグの区画で作られています。雲母からなる花崗岩、南向きの区画。繊細にして優美、ミネラリティがテロワールを映し出しています。

ストーリー:混植混醸によりテロワールの性格を最高に表現するとともに色彩的効果を加えることでさらにいっそうテロワールが際立ちました。品種の比率は等しくはないのです。飲んで当ててみてください!

楽しみ方:少しくせのある料理に合います。焼き魚、柑橘系、タジン鍋、白い肉など。

Quand Le Chat N’est Pas la…
カン・ル・シャ・ネ・パ・ラ

ヴィンテージ【2015】
ブドウ品種:ピノ・グリ 平均樹齢:35年 
畑・土壌:ヴィネック・シュロスベルグの急斜面。花崗岩
栽培:ビオディナミ 植密度:5,000本/ha 収穫:手摘み
醸造:熟成:ブドウを4時間かけて空気で圧搾。 24時間静置したあと天然酵母で自発的発酵。 2年の古樽を使ってシュール・リーで長期熟成。 2016年7月に瓶詰め
アルコール度数:13.96% 生産本数:250本
猫の居ぬ間にネズミたちは踊る(鬼の居ぬ間に洗濯)。ピノ・グリの発酵はどんどんと進んでいってしまいましたが、決して希望を捨てず、最後には報われたのです。
特級畑ヴィネック・シュロスベルグで最も険しいSteinacker(シュタイナッケル)の区画。南向きの葡萄は若いうちからその頭角を現してきましたが、衝動と反骨心を持っています。

ストーリー:私たちは当初、このワインを少し残糖のあるパワフルながらも柔らかさのあるワインになると考えていました。しかしながら発酵はどんどん進んでしまいました。何か手を施す…ではなく、方向性を少し修正する“教育”として2年間、小さな古樽で寝かせたのです。冬が来て、ワインは落ち着き、構造がはっきりと表れフルボディーのドライなワインとなりました。はっきりとした個性がありながらも完璧なバランスを見せています。

楽しみ方:ピノ・グリは誘惑的なので個性のはっきりした食事に合います。