コート・ド・ニュイ最北端に位置するマルサネは、バジョシアン階とバトニアン階の石灰岩が混ざる土壌の多様性、 そしてブルゴーニュで唯一、赤・白・ロゼのワインを生みだすことが出来る、一躍注目を浴びているアペラシオンである。

歴史:マルサネ近代化の礎を築いたドメーヌ・クレール=ダユ、その血統を継ぐのが、ブリュノ・クレールと、このドメーヌ・バールなのです。
1982年、バール家の二人の子供達であるオディールとマルタン・バールによって 自分たちのドメーヌを立ち上げ元詰めを始めました。1987年にはGAEC(農業経営集合体)に加盟。
姉であるオディールが指揮を執り、経営、マルタンがブドウ栽培から醸造を担当しています。
7年前よりオディールの息子ピエールもドメーヌに参画しました。
ドメーヌはコート・ドールの北端マルサネを中心に21ヘクタールを所有しています。
収穫したワインの60%は自社で瓶詰めし、そこからおよそ3分の1を輸出します。
残りの40%はネゴシアンに売却します。
葡萄栽培は自然環境を尊重し、除草剤、化学肥料は施しません。
葡萄樹の衛生状態に対しては天気予報やウドンコ病の情報といった有効な情報ツール、そして畑を定期的に観察するおかげで、最適なレベルを保つことが出来るのです。
例えば、季節の初めの葉の量に応じて、生産量を調整することで殺虫剤も減らすことが出来ます。
6月の下旬まで畑を耕作し、その後、夏の間は有機農法で葡萄樹同士の生存競争をさせます。
このおかげで葡萄は最高の成熟度を得ることが出来ます。
7月初旬には、全ての区画で除葉します。
最後に手で収穫し、必要に応じてその場で選果します。

ワイン造り:ヴィンテージによって異なりますが、5~9日間の低温マセラシオンを施します。
これによって私たちのワインに果実味が備わります。
アルコール発酵は葡萄自体が持つ天然酵母で行われます。
圧搾後、樽に入れる前に2週間、タンクへ移しデカンタージュします。
これは熟成の際に、ワインに有益な純粋な澱だけを保護することです。
新樽比率はキュヴェによって異なり5~50%です。残りは1~4年の古樽です。
マロラクティック発酵は自然な順序を経て施されます。
12カ月の樽熟成後、ワインをグラスファイバータンクに移し3カ月間均一化させ、瓶詰めします。
この過程で、樽香が完全にワインに馴染むのです。
私たちは基本的に濾過・清澄を施しません。
私たちは赤ワインにおいては、ピノ・ノワールの持つ精妙なフィネスを拠り所にしているのです。
新樽を100%使わないのもそのためです。
私たちのワインは伝統的であり、テロワールを最上に体現した結果、美しい緊張感とミネラル感を備えています。
私たちは常に同じ印象を受ける様な均一化されたワインではなく、ワインに各ミレジムの個性を反映させます。

 

Marsannay Rose

ヴィンテージ:【NV2021】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
土壌:斜面下部もしくは扇状地、粘土と砂に小石が混じる土壌。
1987年、マルサネは赤、白ワインだけではない村名アペラシオンとして誕生したのです。
赤ワインの葡萄として知られるピノ・ノワールだけを用いてロゼワインを産出するブルゴーニュ唯一のアペラシオンです。
ミネラルを含む土壌からは、上質で豊満なロゼワインが生まれることを私たちは確信していたのです。
醸造:白ワインと同じ手順です。
2/3は直接圧搾した果汁から 残り1/3はセニエ方式、2日間マセラシオンして、色素を抽出したマルサネ・ルージュのタンクから果汁を引き抜く)の果汁。
圧搾前に72時間のスキン・コンタクトを施し、濃い色調と素晴らしくリッチな香りを得た果汁から造られます。
24時間のデブルバージュ(前清澄)後、16~20度の温度管理をしてアルコール発酵させ、果実味を最大限保ちます。
全て樽を用いずタンクで発酵。冬場のマロラクティック発酵を経て、軽い濾過・清澄後に瓶詰めされます。

Bourgogne Cote d'Or Rouge

ヴィンテージ:【2021】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
土壌:南東向き、粘土石灰質
醸造・熟成:12日間エルバージュ。10~12度に温度管理。
熟成は樽とタンクをヴィンテージによって使い分ける。
味わい:ラズベリーの香り、非常に果実味に富んでいる。親しみやすく、ワイン自体に難しさを感じさせない。
フレッシュな果実味が口いっぱいに広がり、程よく酸味を伴ってバランスを描いている。
今からでも美味しく、2~4年の熟成も出来るでしょう。

Marsannay Les Finottes

ヴィンテージ:【2020】【2021】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:45年
畑・土壌:1.42ヘクタール(バール単独所有)北西部の渓谷の影響を受け乾燥した微気候。 扇状地の沖積土、小石混じりの粘土質土壌
標高:287~291メートル、傾斜は1~2度と弱い。
醸造・熟成:除梗、13度の低温浸漬を7日間。天然酵母。ピジャージュとルモンタージュ。
圧搾後、2~4日間のデブルバージュを施し樽熟成(新樽比率5%)13~16カ月後、3カ月グラスファイバータンク。
味わい:ルビーの美しい色調。イチゴやダークチェリーの“ピュアな果実味”がこのワインの合言葉です。
ぶつかる要素がなく、熟したタンニンと綺麗なミネラル感を備えた飲み心地の良いワインです。

Marsannay Les Longeroies

ヴィンテージ:【2021】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:45年
畑・土壌:プレモー石灰岩、コングロメラ・ソーモン
醸造・熟成:10~12度で温度管理し6~12日間。天然酵母。
樽熟成(新樽比率5%)12カ月
味わい:カシスを思わせる黒系果実と花の香り。丸みを帯びたタンニン。
とてもエレガントで繊細、私たちのドメーヌの特徴的なワインです。 Finottesよりも芳醇で、力強さとフィネスのバランスを備えています。

Marsannay Les Champs Salomon

ヴィンテージ:【2019】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:35年
畑・土壌:1.42ヘクタール  オストレア・アクミナータの泥灰土、小石混じりの赤い粘土
醸造・熟成:除梗、13度の低温浸漬を7日間。天然酵母。
ピジャージュとルモンタージュ。 圧搾後、2~4日間のデブルバージュを施し樽熟成(新樽比率15%) 13~16カ月後、3カ月グラスファイバータンク。
味わい:深みのある色調、香りが凝縮しています。
焙煎したカカオやコーヒー豆、コショウの香り。スパイシーさがあり、口の中でも崩れることなく凝縮感を保ち、長い余韻へと続きます。

Marsannay Les Grands Vignes

ヴィンテージ:【2020】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:30年
畑・土壌:1.42ヘクタール  オストレア・アクミナータの泥灰土、小石混じりの赤い粘土
醸造・熟成:10度で温度管理し7日間。天然酵母。樽熟成(新樽比率20%)13カ月

Marsannay Les Echezots

ヴィンテージ:【2021】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:50年
畑・土壌:0.82ヘクタール オストレア・アクミナータの泥灰土
醸造・熟成:除梗。10度で温度管理し7日間低温マセラシオン。天然酵母。ピジャージュとルモンタージュ。
圧搾後、8~10日間樽熟成(新樽比率0%)13カ月後、3か月グラスファイバータンク。
濾過・清澄ともに施さず。

Bonne Mares Grand Cru

ヴィンテージ:【2017】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:65年
畑・土壌:1.01ヘクタール
醸造・熟成:除梗、13度の低温浸漬を7日間。天然酵母。ピジャージュとルモンタージュ。
圧搾後、2~4日間のデブルバージュを施し樽熟成(新樽比率50%)13カ月樽熟成後、3カ月グラスファイバータンク。
味わい:複雑なアロマと力強いタンニン。若い段階から非常にバランスに優れたワインです。
低い収穫量に由来する凝縮されたアロマ、若い段階でも非常に表現力に富んだ雄弁なワインです。

Chambertin Clos de Beze Grand Cru

ヴィンテージ:【2017】
ブドウ品種:ピノ・ノワール
樹齢:50年
畑・土壌:0.41ヘクタール 
醸造・熟成:除梗、13度の低温浸漬を7日間。天然酵母。ピジャージュとルモンタージュ。
圧搾後、2~4日間のデブルバージュを施し樽熟成(新樽比率40%)13カ月樽熟成後、3カ月グラスファイバータンク。
味わい:非常に力強くアロマティック、口いっぱいにとても長い余韻が広がります。

Marsannay Blanc Les Favieres

ヴィンテージ:【2018】【2019】【2020】【2021】
ブドウ品種:シャルドネ・ミュスケ(ミュスカの香りを持つ亜種)
樹齢:45年 畑・土壌:0.42ヘクタール
醸造・熟成:圧搾後24時間デブルバージュ(前清澄)、18~22℃に温度管理しながら天然酵母でアルコール発酵。定期的にバトナージュしながら8か月熟成させ、瓶詰め。

特徴:エッジに緑がかった淡い黄金色。素晴らしく香りが凝縮している。レモンのような柑橘に白桃の香り。
明るくフレッシュ、非常にミネラル感があり、ミュスカの香りが支配的。
この区画にはミュスカの特徴を持つシャルドネの亜種シャルドネ・ミュスケが70%植わっている。若い段階で飲むことが出来、すぐに魅力を発揮してくれます。