ブルゴーニュ愛好家なら誰もが、各地を歩きまわって自分自身のワインを造ることを一度は夢見るでしょう。
その夢をかなえたのがこのオロンス・ド・ベレールなのです。
若きパリジャン、オロンスはヴォーヌ・ロマネで最も古い建物である“メゾン・ロマネ”に移り住んできました。

メゾン・ロマネ設立当初、彼は、馬による畑の耕作を請け負い、それを仕事としていました。
クロ・デ・ランブレイ、ティボー・リジェ=ベレール、ドメーヌ・デ・ゼプノー、コント・ラフォンなど…いくつもの名門ドメーヌが彼の顧客でした。
そして、ボーヌの醸造学校で学び、彼はネゴシアンとして自分自身のワインを造りはじめることにしたのです。彼は耕作請負人として様々な生産者と仕事をしているため、優れた区画から葡萄を分けてもらえたのです。
彼のワインの特徴は、ほとんど新樽を使用しない点、そしてポンプによる澱引きを行わない点です。
濾過も清澄もせず、すべて自分たちの手で瓶詰めまでを行います。
ブルゴーニュでは異例な、素晴らしいテロワールを知り尽くした新しいネゴシアンがここに誕生しました。

彼はボーヌで勉強して、ワイナリー経営と醸造学のディプロマを取得しました。
そしてポマールのコント・アルマン、コルトンのシャンドン・デ・ブリアイユ、ルーションのドメーヌ・ゴビーでワイン造りを学びました。彼がこれらのドメーヌを選んだ理由は、伝統的なワイン造りの技術と最新の醸造学を学ぶためでした。
これらのドメーヌではビオディナミ栽培を採用しています。
そして、このことは彼が馬で畑を耕作するために極めて重要なことなのです。

2005年、彼は愛車であったハーレー・ダヴィッドソンを売却し、愛すべき彼の馬、『プロスペール』を迎え入れたのです。
彼は愛馬『プロスペール』のブリーダー、モルヴァンと呼ばれる馬師と共に数カ月を暮らし、馬について学びました。
今日では、彼はブルゴーニュのみならず、世界各国(ボルドー、シャンパーニュ、アメリカ、カナダなど)のワイナリーに対して、馬を用いた畑耕作のアドバイザーとしても活躍しています。
(現在は耕作用馬具会社エキヴィヌムを売却し、馬耕作のコンサルタントとして指導しています。)
彼のワインにはコンサルタントは介入していません。ヴィンテージの傾向について他のワイン生産者と相談を意見を交わすことや、ワインの熟成を見るために、分析を専門家に頼むことはあります。ワインはコンサルタントのものではなく、彼のものである、との確固たる信念があるからです。


●哲学
オロンス・デ・ベレールの哲学は、収穫を尊重することそのものです。私は、常に柔らかく抽出することを心がけています。
彼は、機械の振動が、ワインの特性を失わせると信じています。そのため工業的な醸造用具は一切使いません。
ポンプによるワインの移動はワインを疲弊させてしまうため、重力でのみワインを移動させます。
ワイン造りにおいて最も大事な熟成の段階では、科学的なアプローチではありません。彼は月の運行カレンダーに従った自然な方法を用います。

●樽について
彼は樽のニュアンスがワインの味に影響を与えることを嫌います。
彼が使用する樽はアリエ産、ヴォージュ産のもので、3年間かけて自然乾燥させたものを使用します。

Chablis 1er Cru Montmains

ヴィンテージ【2013】
ブドウ品種:シャルドネ100%  樹齢:40年  アルコール度数:12度
土壌:モンマンの丘は南から南西にまたがる南東向きの斜面。ジュラ紀キンメリッジ階の粘土石灰質土壌。
生産量:600本  
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
ブルゴーニュ伝統の樽ピエスで3カ月間かけて発酵。
醸造学に基づいた培養酵母などは一切使用しません。また、バトナージュ(澱の撹拌)も施しません。
ポンプを使わず重力で澱引き。これらの各工程はワインの個性を最大限に表現するため、月の動きに注意を払います。
2014年の収穫前に一度だけ澱引きして2014年12月上旬に瓶詰め。濾過も清澄もしません。
5~6年の古樽で13カ月熟成。
特徴:この年はブドウを圧搾する前段階での、精度の高い選果が不可欠でした。
結果として、非常に高いレベルで満足しています。特徴的な緊張感があり、モンマンのテロワールを精緻に描けています。

Macon Blanc Chateau de Berze

ヴィンテージ【2013】
ブドウ品種:シャルドネ100%  樹齢:40~50年  アルコール度数:12度
土壌:11~12世紀の要塞であるシャトー・ド・ベルゼはAOCマコンの境界線最西端に位置しています。
すべて樹齢の高いブドウで、シャトーの周囲に真南を向いて植えられています。
中でも最も樹齢が高く、最も美しく成熟したブドウが、シャトー・ド・ベルゼの名を冠した偉大なキュヴェとなるのです。
粘土石灰質土壌。白色と褐色の泥灰土が存在します。
収穫量:42hl  生産量:900本
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(シャトー・ド・ベルゼにて)
ブルゴーニュ伝統の樽ピエスで6カ月間かけて発酵。
醸造学に基づいた培養酵母などは一切使用しません。また、バトナージュ(澱の撹拌)も施しません。
ポンプを使わず重力で澱引き。これらの各工程はワインの個性を最大限に表現するため、月の動きに注意を払います。
5~6年の古樽で13カ月熟成。
特徴:このミレジムは、ワインの瑞々しさを表現するには少し瓶熟成の時間を必要とします。
瓶詰め直後は、大樽熟成に由来する透明感のある果実味にわずかに酸化のニュアンスを感じます。
香りの印象で少し困惑するかもしれませんが、明らかな果実味の広がり、力強さ、奥深さは美食家を刺激します。

Macon Rouge Chateau de Berze

ヴィンテージ【2012,2013】
ブドウ品種:ガメイ100%
樹齢:70~90年  アルコール度数:12度
土壌:11~12世紀の要塞であるシャトー・ド・ベルゼはAOCマコンの境界線最西端に位置しています。 すべて樹齢の高いブドウで、シャトーの周囲に真南を向いて植えられています。 中でも最も樹齢が高く、最も美しく成熟したブドウが、シャトー・ド・ベルゼの名を冠した偉大なキュヴェとなるのです。 粘土石灰質土壌。白色と褐色の泥灰土が存在します。
収穫量:40hl  生産量:1,150本
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(シャトー・ド・ベルゼにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽とタンクで発酵。 5、6年の古樽で13か月樽熟成。
特徴:最も樹齢の高い80年の古木は収穫を非常に遅らせました。(2011年の10月15日) 古木と遅摘み。これがグラン・ヴァンとしてのシャトー・ド・ベルゼを造るために必要不可欠なふたつの要素なのです。

Bourgogne Pinot Noir

ヴィンテージ【2015】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:40年  アルコール度数:12度
畑・土壌:プレモー・プリセ村の南部、南東向き。 収穫量:45hl  生産量:,2050本
わずか0.4ヘクタールの小さな区画で、すべて私たちが収穫しました。粘土石灰質の平地。
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間発酵。
7~10年の古樽で12か月樽熟成。
特徴:全房発酵。このブルゴーニュはボリュームと複雑さがあり、明らかにこのアペラシオンのレベルを凌駕しています。
わずかな揮発酸がありますが、瓶詰め後数か月で解消されます。
このミレジムの個性である豊かな香りが包み込み、全体を調和させています。

Marsannay Longeroies

ヴィンテージ【2014、2015】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:35~45年
土壌:粘土石灰質の土壌。クロ・デュ・ロワと対になる南東向き区画
2014年 収穫量:38hl  生産量:2,100本  2015年 収穫量:45hl  生産量:1,500本
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽で発酵。12か月樽熟成。
2014年の特徴:2013年のように、慈愛に満ちた9月の天候のおかげで非常に健全なブドウに恵まれました。
毎年のことですが、収穫時に厳しく選果、タンクには健全なブドウしか入れません。
2014年はとにかくバランスが良く、果実味があり、2013年と比べると構造に密度があります。
丸みがあり、クラシックながらとても美しいピノ・ノワールを生んだヴィンテージです。
2015年の特徴:2015年のマルサネは丸々として蠱惑的です。日差しの強い夏は、高い成熟度と構造の強さを増幅させています。瓶詰め後、数か月すれば、明確な果実味が表現されることでしょう。

Fixin Les Clos

ヴィンテージ【2014、2015】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:50~60年
土壌:粘土石灰質のあまり深くない土壌。フィサン村の北側に位置し、南東向き、軽快な土壌。偉大なピノ・ファン。
2014年 収穫量:35hl  生産量:1,200本  2015年 収穫量:38hl  生産量:1,500本 
醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽で発酵。12か月樽熟成。
特徴:この区画のあまり深くない石灰土壌の恩恵を受け、フレッシュな美点が保たれています。
このフィサンはまさにピノ・ノワールのお手本のようなワインです。繊細でフィネスがあり、美しい緊張感を持っています。

Gevrey Chambertin La Justice

ヴィンテージ【2013】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:50年
土壌:粘土石灰質の土壌。国道境界線に面し、ラヴォー渓谷からの沖積錐の影響を受ける村名の中で最高の区画。
生産量:2,030本  醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽で発酵。13か月樽熟成。7樽。

ヴィンテージ【2014】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:50年
土壌:粘土石灰質の土壌。国道境界線に面し、ラヴォー渓谷からの沖積錐の影響を受ける村名の中で最高の区画。
生産量:1,800本  醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽で発酵。15か月樽熟成。5樽。

Vosne Romanee Aux Reas

ヴィンテージ【2014、2015】
ブドウ品種:ピノ・ノワール100%  樹齢:35~45年
土壌:粘土石灰質の土壌。1級畑に隣接する村名ヴォーヌ・ロマネの中でも非常に価値がある区画です。
生産量:620本(2014年)、600本(2015年)  醸造・熟成:オロンス・ド・ベレール(ヴォーヌ・ロマネにて)
100%全房のまま、天然酵母を用いて3週間、木樽で発酵。13か月樽熟成。1樽。
特徴:レ・レアはヴォーヌ・ロマネの特徴がグラスから隠し切れずに溢れ出てきます。
まさに伝統的なヴォーヌ・ロマネで、とても甘い果実味と複雑さをも備えています。
2015年はとても美しく、フレッシュさとテンションの高さを維持するためにわずかな揮発酸を許容しました。
このわずかな揮発酸は瓶詰め後に解消されます。